木畜シリーズ、、その17 <2019年> | 旅と女と人生と
2020-06-16 05:21:15

木畜シリーズ、、その17 <2019年>

テーマ:私小説

 

金閣寺

 

 

 

 

 

                 父の死から3ヶ月、、木畜はカンボジア日本大使館へ、そこで                

            父の在留邦人死亡届、地元の僧院に頼んで、僧侶を派遣して

                           簡単な葬儀、読経、そして火葬と続き、最後はお骨の一部を

            日本へ運んで、郷里の祖父の墓に合葬の手続きなどを行い

            それが一通り済んだ頃に2019年が明けた、、木畜にとって

            この2019年という年は、それまでの日本から父を連れて

            来て看取った、この2年半というものとは、まったく違う人生と

            いうものを これから迎える事となった、、それは一言で

            いえば、父の介護から解放された今、、簡単に言えば、

            <毎日、やることがない生活>が訪れた、ということを意味

            していたんだ、オレの投資の仕事は残されていたが、それは

            オレが証書の書き換えの為にプノンペンにやってくる8月の

            数日だけのことであり、、その他は使われたクレジットカード

            残高や、金利や配当が、期日ごとにきちんと振り込まれて

            いるかどうかの確認、、という、、つまりオレの投資も落ち着き

            スワイパー時代の、明日内戦でブッつぶれるかどうかの銀行

            にリスク覚悟で大金をブッこむ、などというワイルドな時代は

            もう完全に終わっていた

 

            ところで、父の死後、木畜には天祐ともいえる一つの幸運が

            起こっていた、それは父の生前にカンボジアへ移住させる前に

            自分名義に変更していた父の株券、、父が、定年まで勤め

            上げた会社の株、、いわば父の遺産というものが、ここ数年

            アベノミクスと言うものによって、カンボジアに来る前の倍額

            近くまで高騰したのだ、、その時、木畜からそのことで相談を

            受けたオレは<何も躊躇する事なく 今すぐ全部売却せよ>と

            自分の考えを述べた、、彼は、2月〇日バンコクから日本の

            羽田へ向かって、そこで父の残してくれた株券、それも生前の

            価値の倍に上昇したものを、3000万円で売却した、そして

            彼は、そのカネを数回に分けて、日本から脱出パイレーオを

            やって、それを全額、オレと同じ投資先銀行へ定期へブチ

            込んだ、、こうして彼は3000万の年利7%のドル金利を

            毎年受け取れる身分に変身したのだ、、あのスワイパー

            時代、それまで日本の漫画家として得ていた定期収入を

            失った後経験したゴーゴーバーを止めた女たちと過ごした

            SEXだけは楽しくともカネが毎日減ってゆくというミジメな

            生活から彼は脱出したのだ 

 

            2019年、木畜は、そのカネ持ちになれたというライフスタイル

            だけでなく、、物の話し方や顔の表情というものまで、いわば

            別人のような柔和な鷹揚なふるまい、という風に 人間その

            ものが変わってきた、、オレなんか30年も前から会う友人 

            皆に言われる一言→<ナナさんは、親から遺産が入って

            なにも毎日アクセク生きる必要なんてないのだから、もっと

            他人の前では応用に、悠然と構えていたほうが似合うんじゃ

            ないですか?>とジュライ時代から、ずっと言われ続けて

            きながら、未だそれがやれないオレのセコさ、人間性のプア

            さというものを、木畜はたった3000万の金が入っただけで

            悠然と構えてゆける、、ということにオレは軽いジェラシーを

            感じるんだ

 

 

 

 

                                    # 小金持ちになった木畜に負けんように、オレもフィリピンで

                                       打ち込むぞ、いよいよ次回は木畜シリーズ最終回だ

 

 

 

 

 

 

                                       ナナ