金閣寺
父の死から3ヶ月、、木畜はカンボジア日本大使館へ、そこで
父の在留邦人死亡届、地元の僧院に頼んで、僧侶を派遣して
簡単な葬儀、読経、そして火葬と続き、最後はお骨の一部を
日本へ運んで、郷里の祖父の墓に合葬の手続きなどを行い
それが一通り済んだ頃に2019年が明けた、、木畜にとって
この2019年という年は、それまでの日本から父を連れて
来て看取った、この2年半というものとは、まったく違う人生と
いうものを これから迎える事となった、、それは一言で
いえば、父の介護から解放された今、、簡単に言えば、
<毎日、やることがない生活>が訪れた、ということを意味
していたんだ、オレの投資の仕事は残されていたが、それは
オレが証書の書き換えの為にプノンペンにやってくる8月の
数日だけのことであり、、その他は使われたクレジットカード
残高や、金利や配当が、期日ごとにきちんと振り込まれて
いるかどうかの確認、、という、、つまりオレの投資も落ち着き
スワイパー時代の、明日内戦でブッつぶれるかどうかの銀行
にリスク覚悟で大金をブッこむ、などというワイルドな時代は
もう完全に終わっていた
ところで、父の死後、木畜には天祐ともいえる一つの幸運が
起こっていた、それは父の生前にカンボジアへ移住させる前に
自分名義に変更していた父の株券、、父が、定年まで勤め
上げた会社の株、、いわば父の遺産というものが、ここ数年
アベノミクスと言うものによって、カンボジアに来る前の倍額
近くまで高騰したのだ、、その時、木畜からそのことで相談を
受けたオレは<何も躊躇する事なく 今すぐ全部売却せよ>と
自分の考えを述べた、、彼は、2月〇日バンコクから日本の
羽田へ向かって、そこで父の残してくれた株券、それも生前の
価値の倍に上昇したものを、3000万円で売却した、そして
彼は、そのカネを数回に分けて、日本から脱出パイレーオを
やって、それを全額、オレと同じ投資先銀行へ定期へブチ
込んだ、、こうして彼は3000万の年利7%のドル金利を
毎年受け取れる身分に変身したのだ、、あのスワイパー
時代、それまで日本の漫画家として得ていた定期収入を
失った後経験したゴーゴーバーを止めた女たちと過ごした
SEXだけは楽しくともカネが毎日減ってゆくというミジメな
生活から彼は脱出したのだ
2019年、木畜は、そのカネ持ちになれたというライフスタイル
だけでなく、、物の話し方や顔の表情というものまで、いわば
別人のような柔和な鷹揚なふるまい、という風に 人間その
ものが変わってきた、、オレなんか30年も前から会う友人
皆に言われる一言→<ナナさんは、親から遺産が入って
なにも毎日アクセク生きる必要なんてないのだから、もっと
他人の前では応用に、悠然と構えていたほうが似合うんじゃ
ないですか?>とジュライ時代から、ずっと言われ続けて
きながら、未だそれがやれないオレのセコさ、人間性のプア
さというものを、木畜はたった3000万の金が入っただけで
悠然と構えてゆける、、ということにオレは軽いジェラシーを
感じるんだ
# 小金持ちになった木畜に負けんように、オレもフィリピンで
打ち込むぞ、いよいよ次回は木畜シリーズ最終回だ
ナナ