ビッチーズブリュー
どうもコロナ、いや軽い風邪を引いたせいで、今夜は
うまく眠れない、、それでオレは、、青年時代、昔なら
アトリエのキャビネットにあったLPレコードから静かな
JAZZを選んで、自慢のJBLサウンドというものを、、
聞きながら、深夜の眠りがやって来るのを待ったで
あろう、、地方の金持ちの息子だったからな、
それが今は,,あんなに痩せていて溌溂とした若さと
笑顔があった青年のオレは、、老人になってしまい
ここカンボジアの地方で、、淋しく余生が尽きてゆく
時代というのを、眺めているんだ、、、今のオレには
JBLサウンドを聞くオーデイオ機械は、、持たず、
昔聞いた、、101ストリングスのムードミュージックを
眼の前で再現してくれているのは、宮崎学が見つけた
台湾製の、3万5千円で買った、、14インチのPC画面
なんだ、、、、もちろんサウンドの質という意味では、
昔のJBLに到底かなわない、、しかしオレはもはや
JBLを必要としていない、いやオーデイオだけじゃない
猪苗代湖に浮かべていたヨットだって、親が絵を描くため
建ててくれたアトリエのある一軒家だって、4台の車、、
BMWやアルファロメオや三菱ジープや、そんなアクセ
サリーは全部、今のオレには必要ない、、、もう30年
以上も、、世界をバックパッカー、、放浪してきたからな
モノは少ない方がいいのよ、でも物はいらんがカネは
欲しかった、、なぜなら世界の知らない土地で病気に
なった時にオレには自分を助けてくれる友人がいなか
った、だからカネが、そのときオレを助けてくれた
という価値のない人生を、送ってきたオレだが、今に
なって、、かつて自分が持っていて今は失ってしまった
ものの中で、、、一つだけ、心残りのものがあるんだ、
それは当時のオレ、21才の青年だったオレは趣味で
JAZZピアノのモノマネをやっているうちに、なんとなく
あの<枯れ葉>が弾けるようになっていたんだ、、
もちろん独学なので下手だが、でも<猫踏んじゃった>
よりは オンナたちの受けはよかったぞ、<枯れ葉>の
良さがわかってくれる女が、生きていた1970年代の
郡山、、、
# もう一度、ピアノが弾けたら
ナナ